031120=「おん祭」装束一堂に 春日大社で特別展

「おん祭」装束一堂に 春日大社で特別展
文書や絵画なども


 奈良市春日野町の春日大社宝物殿で、春日若宮おん祭(重要無形民俗文化財)の装束を集めた特別展「神に捧げられたおん祭の芸能」が(平成15年11月)十九日始まった。おん祭で芸能を奉納する田楽座が伝えてきた装束を初めて公開するほか、田楽座にまつわる文書類やおん祭の祭典の様子を描いた絵画類、舞楽装束を展示している。
 田楽座は、おん祭で芸能を奉納する団体の一つで、隆盛を極めた興福寺の庇護(ひご)のもとでひときわ豪華な装束を身につけていた。明治維新後の廃仏毀釈で同寺が衰退するまでは、おん祭前日に能の奉納も行っていたという。
 特別展では、明治以降に途絶えた演能の能面や能装束を田楽座の伝承者から借り受けて展示。桃山時代に制作された尉(じょう)面や女面、天冠のほか、演能の様子を描いた絵巻も展示し、田楽座の演能の様子を伝えている。
 このほか、金糸を縫い込んだ江戸時代の豪華な金襴の田楽衣装や花笠に装飾する一刀彫の人形なども展示。明治以降に途絶え、ことしから復興する頭屋児(とうやのちご)の衣装の一部もあり、おん祭の主要な芸能だった田楽座の華やかさを表している。
 十二月二十八日まで。午前九時−午後五時。拝観は大人四百二十円。中学・高校生三百十五円、小学生二百十円。問い合わせは春日大社、電話0742(22)7788。

写真=初めて公開される田楽座の能面=奈良市春日野町の春日大社宝物殿

平成15年11月20日(木)奈良新聞掲載