ヘイケボタル自然繁殖の試み[水環境学会誌]より
Q1 × ゲンジボタルの方が大きい。
「ゲンジボタル」
大きさ:オス14mm メス20mm
九州、四国、本州、対馬、佐渡に分布
いつも水が流れているきれいな川
5月上旬〜7月中旬に出現する。
「ヘイケボタル」 大きさ:オス9mm メス11mm
九州、四国、本州、北海道(東シベリア、韓国などの熱帯地方)
高地〜低地まで広く生息する。6月中旬〜7月中旬に出現する。
Q2 ○ 日本には北海道から沖縄まで、約30種類のホタルがいます。そのうち成虫が発光する
のはゲンジボタル、ヘイケボタル、ヒメボタルなどわずか5種のみです。
Q3 ○ ゲンジボタルの幼虫は水質にとても敏感で、いつも水が流れている川にしかすみつく
ことができません。ゲンジボタルの食べ物は、水底に住む巻き貝カワニナです。ヘイケボタルの
幼虫は多少よごれた水でも平気なので、川のほかに、流れのない水田にもすみついています。
食べ物はモノアラガイやサカマキガイなどです。
ヒメボタルをはじめ、ほとんどのホタルの幼虫は陸上ですごし、陸上にすむ巻き貝のなかま、
カタツムリやオカチョウジガイを食べて成長します。
Q4 × ゲンジボタルは卵や幼虫、さなぎのどの
時期でも発光します。でも、成虫になってからの
ように、合図を送るために光っているのではあり
ません。まだ、弱い光です。きっちり、明滅のし
くみができあがるのは、成虫になってからです。
Q5 ○ ホタルには、オスとメスがいます。
Q6 ○ 日本だけでなく世界には、約2,000種類のホタルがいます。
Q7 × 外国にいるフォツリス・ベルシコロールというホタルは、ほかの種類のメスのホタルの
光り方をまねして、やってきたオスのホタルを食べてしまいます。
Q8 × 生活環境は、つぎのようなところです。何といっても水がきれい。水質や水量がかわ
らない。自然の多いところ。川底に小石などがあり、ヘドロのない川。川の中に水生食物のあると
ころ。電灯などで明るくないところ。天敵が少ないところ。空気のきれいな場所。むかし、ホタル
はよく見られましたが、一時かぎられた自然のあるところにしかいなくなってしまいました。いま
は、川をきれいにしたり、下水道の使用など清流を取り戻す努力により、ホタルが少しずつもどっ
てきています。自然は破壊するよりつくるほうがずーとたいへんだとわかってきました。
Q9 ○ ゲンジボタルの成虫の命は、オスもメスもわずか2週間たらずです。
Q10 × ホタルは、だいたいあたたかい季節が好きです。
Q11 ○ ホタルは、交尾する相手を見つけるために光っています。ホタルのオスとメスは、真
っ暗な夜に相手を探します。ところが暗やみの中では、お互いの姿を見ることができません。そこ
で、オスとメスは、光を使って合図を送り合っているのです。
Q12 ○ ホタルの点滅周期は地域によって異なることが報告されています。点滅の様式はホタ
ルの種類によって異なり、それによって、互いの種を識別するといわれています。オスがメスを引
きつけるために発光するとも考えられていますが、逆に飛べないメスが弱い光を出してオスを引き
つける種もあります。光らないホタルは、おそらくメスがからだからある種のにおいを出し、それ
をオスが触角でかぎわけてちかづいてくるのではないかと考えられています。
Q13 ○ ゲンジボタルは成虫になると、なにも
食べません。水分をとるだけです。幼虫のときにと
った栄養がたくさん体内にのこっているからです。
Q14 ○ 一日の飛行距離は、約200mです。
Q15 ○ 光の色は、黄色っぽい青色、青色、赤色などがあり、ホタルの種類によって異なりま
す。光の点滅は神経の調節によるもので、呼吸とは無関係です。ホタルの発光細胞の中にあるルシ
フェリンというタンパク質が酸化して酸化ルシフェリンになると、熱の無い光が発生します。ルシ
フェリンの反応の際に、ルシフェラーゼというホタルが生まれながらに持っている触媒が必要で、
他の酸化剤では発光しません。ホタルの死骸でも、発光器は水につけると光を放ちます。
ホタルの生態については、まだわからないことがあります。引き続き研究がされています。
(参考文献)・新潟県ホタルの会ホームページ
・コーガク出版「科学と社会のしくみがわかる本」・ホタルが光る仕組み
・あかね書房 科学のアルバム 「ホタルの光りのひみつ」栗林 慧著