040112=若草山焼き

若草山焼き 好天、10年で5回

 奈良の冬の夜空を彩る若草山の山焼きが(平成16年1月)11日(日)に催される。00年から成人の日の前日の日曜日に開催されている。約10万人の観光客が訪れる恒例行事だが、94年から10年間で好天は5回だけ。今年の天候は「曇り時々晴れ」とみられており、好天となるどうかは微妙だ。
 山焼きは50年から成人の日だった1月15日に実施されてきた。祝日法が改正され、成人の日が00年から1月の第2月曜日に変更されて3連休になったことを受けて、主催する県や奈良市、保存団体の若草山保勝会など5団体が、観光客の呼び込みを狙って成人の日前日の日曜日に実施することにした。
 奈良公園管理事務所によると、過去10年間で、94、95年は好天が続き若草山の草地33ヘクタールのうち、80〜100%が焼けた。96年は雨で順延。97年は好天で100%焼けた。98年は当日の15日と予備日の18日ともに雨のため、中止。98年は午前中の雨が影響して燃え広がらず20%しか焼けなかった。00、01年は雨で順延。02、03年は好天に恵まれいずれも100%焼けた。同期間中の観光客は97年の17万人をピークに8〜10万人に減少していたが、02年に12万人、03年に13万人と増え続けている。
 山焼きは江戸時代の1760年(宝暦10年)に、東大寺と興福寺の若草山での境界争いを仲裁した奈良奉行が関係者の立ち会いで山を焼いたのが始まりとされている。
 山焼きは当日午前8時20分ごろに関係者が集まって実施か順延かを話し合う。開催の場合は正午に若草山一重目に設置される号砲を鳴らす。午後2時ごろから山麓(さんろく)の特設舞台で地元の和太鼓グループが「わかくさ太鼓」を披露。同2時半ごろから大和茶など奈良の食材を使った「若草がゆ」約2千人分が振る舞われる。同5時15分ごろに聖火行列が県新公会堂近くを出発し、春日大社の神官や興福寺、東大寺の僧侶ら計16人がたいまつを掲げて山麓の野上神社まで練り歩く。同50分ごろに計200発の花火を打ち上げて、午後6時ごろに消防隊員ら約300人がラッパを合図に火を放つ。雨天の場合は(平成16年1月)17日に順延。当日の山焼き開催の問い合わせは情報ダイヤル(0180・997・707)。市内数カ所で交通規制されるため、主催者は公共交通機関を利用するよう呼びかけている。
2004年(平成16年)1月8日(木)朝日新聞掲載

若草山 山焼き 春よ
 古都の新春を彩る若草山の山焼きが(平成16年1月)十一日(日)夜、奈良市で行われ、約13万人(奈良県警調べ)の観光客らが幻想的な山肌を染める様子に見入った。
 山焼きは宝暦十(一七六〇)年、興福寺と東大寺の領地争いを奈良奉行が仲裁、関係者立ち会いのもとで山を焼いたのが起源とされる。
 ここ数年は雨で順延となる年が多かったが、今年はまずまずの好天に恵まれた。春日大社の神職が山焼きの無事を祈る神事を行った後、花火が打ち上げられ、午後六時に消防団員約三百人がたいまつで枯れススキに点火。炎が山肌を包み込み、約四十分間にわたって燃え続けた。
写真=山肌を赤く染めた「若草山の山焼き」(手前は薬師寺)=11日午後5時50分から多重露光で撮影、奈良市
平成16年1月12日(月)産経新聞掲載