030819=民家改修し散策の拠点に、五條新町地区

民家改修し散策の拠点に、五條新町地区
休憩所を設置 歴史や文化紹介も


 江戸時代からの町並みが残る五條市の新町地区で、市は民家一軒を改修し、まち並み散策の拠点として整備する。トイレなど休憩所や地区の歴史・文化を紹介するスペースなどをつくり、来春オープンの予定。来訪者の利便性アップで観光振興を図る。

 整備するのは、旧街道・新町通りに面した同市本町一丁目の住宅兼医院跡。持ち主が大阪に転出、空き家になっていたが、通称「前防(まえぼう)邸」と呼ばれる、数年前から地域活性化イベントなどで拠点施設として利用されていた。
 市は今回、敷地約八百平方メートルを購入。敷地内建造物の寄付を受け、約五千万円(内二分の一国補助)をかけて屋根瓦の一部ふく替えと内部改修、一部建物の解体工事を行う。
 改修するのは、大正年間に建てられた木造二階建ての母屋と木造平屋建ての離れ、二つの蔵で延べ床面積計約五百平方メートル。母屋は、管理人室のほか新町地区関係の資料展示ができる情報発信基地に。離れは開放ギャラリーで交流の場とし、蔵を活用して観光客用のトイレを新設する。西側の医院棟約二百平方メートルは解体し、身障者用駐車スペースをつくる。
 新町地区は、通称「新町通り」と呼ばれる約一キロメートルの旧街道を中心とした地域。江戸時代初期、通りに沿って九十軒以上の町家が並び、町場が形成された。
 現在は、立て替えや空き家もあるが、慶長十二(1607)年の棟礼を持つ日本最古の民家・栗山家住宅(国重文)を筆頭に、大壁造と細格子が特徴の伝統的な町家が多く残り、歴史情緒が漂う。
 市は、新町地区街なみ環境整備事業で、路面美装や公園整備など観光も視野に入れた生活環境整備を進め、住民も景観に配慮した修繕などに協力している。周辺にはほかにもさまざまな歴史や吉野川河川敷などの集客資源があり、市は前防邸改修を観光振興の起爆剤にしたい考えだ。

平成15年8月19日(火) 奈良新聞掲載