030905=南アルプスにクレーター 国内で初確認

南アルプスにクレーター 国内で初確認
2、3万年前に小惑星衝突か

 南アルプス南部の小池山(おいけやま)付近(長野県上村(かみむら))に残る半円形の地形が、いん石によるクレーターの可能性が高いことを、同県飯田市竜丘小学校の坂本正夫教頭と岡山理科大学の研究チームが確認、(平成15年9月)四日、国立極地研究所(東京都板橋区)で開かれた国際太陽シンポジウムで発表した。国内には議論中の地形はあるが、クレーターが確認されたのは初めて。
 「小池山インパクトクレーター」は、直径約九百メートル。崩壊するなどして、円形の約40%が山の尾根沿いに残存している。クレーター内で見つかった石英の分析などから、二万〜三万年前に直径約四十五メートルの小惑星が衝突してできたクレーターと推測された。
 坂本さんは地質学が専門。二十年前にここで従来の地質研究では説明がつかない半円形の地形を発見。二十五カ所の岩盤から、特殊な構造をした石英を見つけ、岡山理科大に分析を依頼した。
 同大でレーザー光線を使って調べたところ、いん石などの強烈な衝撃を受けた場合にできる、「衝撃変形」幸三の石英を含むことを確認した。衝撃変形は、大きな衝撃で石英結晶が百〜二百分の一ミリメートル単位で切断された状態のこと。その地形がクレーターであることを裏付ける有力な証拠とされている。
 奥野正幸・金沢大学教授(鉱物学)は「クレーター特有の構造を持った石英の発見は興味深い。これを機に、国内のクレーター研究が進むのではないか」と話している。

平成15年9月5日(金)読売新聞掲載