030914=明日香村 酒船石遺跡 階段状の巨石出土

明日香村 酒船石遺跡 階段状の巨石出土
大規模な石垣基礎 7世紀後半、
総延長700メートル


奈良県明日香村の酒船石遺跡で、階段状に並べられた7世紀後半ごろの巨石列が見つかり、同村教委が(平成15年9月)十一日、発表した。斉明天皇(在位六五五−六六一年)が築いた石垣の基礎石の一部で、石垣の南東端にあたるとみられる。石垣は総延長七百メートルに上り、酒船石(国史跡)を囲むように、丘陵地全体をめぐっていた可能性が高まった。

 当初は巨石列の上に、レンガ状に加工された砂岩が積み上げられた形状だったとみられる。同種でこれほど大規模な石垣は国内でも例がない。日本書紀には、斉明天皇が「宮の東の山に石を累(かさ)ねて垣とす」「功夫(ひとちから)を七万人あまり動員した」との記述があり、大土木工事の様子を裏付ける発見となった。
 約二百五十平方メートルの範囲を調査。花崗(かこう)岩の基礎石(長さ一メートル前後、幅三十センチメートル前後、厚さ三十〜四十センチメートル)計十一個が約九メートルにわたって並び、上から見るとL字状になる。周辺からは加工された砂岩(縦約三十センチメートル、横約二十センチメートル、厚さ約十センチメートル)も数十個出土。
 見つかったのは標高一三四メートルの丘陵斜面。これまでの調査では石垣遺稿が四カ所見つかっており、酒船石を囲んでいたとみられる。
 現地説明会は十三日午前十時から。
 門脇禎二・京都橘女子大名誉教授(古代史)の話 「石垣の東端がきっちり確認できた意義は大きい。斉明天皇の両槻宮が、酒船石のある丘陵の範囲に築かれていたことがほぼ確実になった」

平成15年9月12日(金)産経新聞掲載