防災意識を高め社会貢献

 平成7年1月の「阪神大震災」では通信網が打撃を受け、地元のアマチュア無線による連絡網が大いに社会貢献しました。南海地震などへの警戒と災害が起こったときの情報通信網の確保が叫ばれる中、奈良県としても防災無線の整備をしました。
 近畿のアマチュア無線局は、西暦2000年問題において非常通信網を確立し警戒しました。これに関して評価を得た実績があります。
 2003年世界無線通信会議(WRC-03)では、アマチュア業務およびアマチュア衛星業務の規定や、そのコールサインに関する規定も、21世紀の時代に合わせて見直され、非常災害時の社会貢献や国際協力が望まれる将来のアマチュア業務に必要な改正がおこなわれました。

 私たち「アマチュア無線家」としても、それぞれの地域に密着した活動と、日頃から移動運用で得たノウハウで非常災害時に貢献したいと考えています。



「近畿地方非常通信協議会」の総会において
当クラブが、西暦2000年問題(Y2K)
非常通信網の確保に絶大なる貢献をしたとして
表彰されました。


031225=国連防災世界会議の05年神戸開催が決定
国連防災世界会議の05年神戸開催が決定

 内閣府は(平成15年12月)24日、米ニューヨークで開催中の国連総会本会議で、05年1月に神戸市で「国連防災世界会議」を開催することが全会一致で決定されたと発表した。阪神大震災から10年にあたり、国や兵庫県が誘致していた。
 同会議は94年に横浜市で開かれて以来、2回目。期間は05年1月18〜22日で、神戸市のポートアイランドが主会場。国連加盟の国や地域、国際NGOなどが参加する予定で、シンポジウムなどを開き、自然災害などに関する国際的な防災指針を策定する。

2003年(平成15年)12月25日(木)朝日新聞掲載

031225=東海地震「警戒宣言」後 東海道新幹線を一部運行
東海地震「警戒宣言」後 東海道新幹線を一部運行
新大阪・名古屋間


JR東海は(平成15年12月)24日、東海地震の予兆があった際の東海道新幹線の運行について、国の警戒宣言がでた後も名古屋−新大阪間の運行を継続するとした新たな計画を発表した。
 同社はこれまで、警戒宣言が出た段階で防災対策の強化地域内への全列車の進入を規制し、地域内にある列車は最寄りの安全な駅で停車するとしてきたが、中央防災会議が予想震度「5強」以下で津波の恐れのない地域では、事業者の判断で運行可能としたことで、防災業務計画を変更した。
 名古屋駅は強化地域のほぼ西端で想定震度が5強以下であることから、新大阪駅との間を折り返し運転することにした。名古屋駅付近の強化地域内では120キロメートル毎時運行とし、同地域外では通常速度で運行する計画だ。
 同社は「安全を前提に極力移動の機会を提供し、帰宅困難者にも対応したい」としている。
 また、警戒宣言の前段階にあたる「注意情報」段階では、在来線の長距離夜行列車と貨物列車を除き、すべての旅客列車の運行を続けることも計画に盛り込んだ。

2003年(平成15年)12月25日(木)朝日新聞掲載

031216=防災推進652市町村
防災推進652市町村 東南海・南海地震
政府指定 避難路や防潮堤整備


 今世紀前半にも発生することが懸念される東南海・南海地震に関し、津波対策などが必要な防災対策推進対策地域として二十一都府県、六百五十二市町村を指定する庵が(平成15年12月)十六日午前、政府の専門調査会で決まった。これを受けて同日午後に開かれる中央防災会議(会長・小泉純一郎首相)で両地震を対象にした大綱が正式決定される。五月に決定した東海地震対策大綱とともに、太平洋沿岸を中心に甚大な被害が予想される三大地震への体系的なな防災計画が整うことになる。
 静岡県から四国沖にかけての太平洋を震源とする東南海・南海地震は、広範囲での被害が予想され、東京都の島嶼(とうしょ)部から宮崎県までの太平洋沿岸や瀬戸内海沿岸、京都市などの内陸部も防災対策が必要な地域に指定された。最も重点が置かれているのは津波対策で、発生直後は外からの支援が難しいことを踏まえた広域防災体制の確立も盛り込んでいる。
 専門調査会は、@津波が三メートル以上もしくは地上二メートル以上に達して堤防整備が不十分A震度6弱以上B過去の被害状況−などを考慮して四百九十四市町村(発表後、三重県内の四町合併)を指定する素案を九月に発表。その後、関係都府県から意見を聞いた結果、新たに指定市町村を追加する要望があり、最終的に百五十八自治体増えた。該当地域の人口は約三千七百万人で、全人口の約三割に相当する。
 指定された自治体は防災対策の推進計画を作成し、避難路や消防施設などの整備に取り組むことになる。具体的には防潮堤の整備や、水門などの自動化・遠隔操作化を推進。津波から逃れるためのビルや高台の確保、津波でも機能を失わない高規格道路の整備などを進める。また、NTTやJRなどの指定公共機関、病院、デパートなども避難などの計画を作成することが義務付けられ、国は指定地域内の対策に財政的な支援をする。
 専門調査会は九月に発表した被害想定で、東南海・南海地震と東海地震が同時発生した場合、最悪で死者が二万八千三百人、うち津波による死者は一万二千七百人に達するとしている。

【奈良県】は、全10市20町17村が指定された。

平成15年12月16日(火)産経新聞掲載

030729=地震前兆に注意情報・「東海」にらみ警戒態勢強化・防災会議「発表」細かく
地震前兆に注意情報
「東海」にらみ警戒態勢強化・防災会議「発表」細かく

 政府の中央防災会議(会長・小泉純一郎首相)は平成15年7月二十八日、最悪で死者一万人の被害が想定される東海地震について、平成15年五月に策定した対策大綱に基づく新しい地震防災基本計画を決定した。地殻変動の異常データを示す「観測情報」を二つに分け、地震の前兆現象の可能性が高まった段階で発表する「注意情報」を新たに設けるのが柱。警戒宣言前に、防災機関や住民が早い段階で準備行動を取れるようにした。また、宮城県沖など日本海溝沿いで起きる大地震への対策を検討する専門調査会の設置もあわせて決めた。

東海地震=静岡県の駿河湾周辺を震源とするマグニチュード(M)8クラスの海溝形地震。唯一、直前予知の可能性があるとされる。100-150年周期で発生することが知られている。現在まで149年間起きていないため発生が懸念される。中央防災会議の被害想定では最悪の場合、死者は約1万人にのぼるとされる。

 今回の地震防災計画をもとに、国や県、市町村など関係機関は年内に防災計画を修正する。従来の基準を二十四年ぶりに見直し「注意情報」を盛り込んだ新しい情報発表システムは来年一月までに導入される。
 注意情報は、従来の観測情報の幅が広く、「明確な防災対応をしていなかった」(北出武夫気象庁長官)との点を改めるために設けた。観測技術の進歩で、東海地震につながるプレートの「前兆すべり」の観測が細かくできるようになったことを受け、より的確な情報を提供する狙いもある。具体的には、ひずみ計で最初に異常データを観測した場合に出される「観測情報」の段階で、二カ所で異常を観測すると「注意情報」に移行。さらに専門家で構成する地震防災対策強化地域判定会が、地震発生の恐れがあると判断すると「予知情報」になり、警戒宣言が発表される。
 注意情報が発表されると、行政機関などは救助、救急、消火、医療の各部隊の派遣準備を行うほか、住民には児童・生徒の帰宅準備、旅行の自粛などを呼びかけ、警戒態勢に入る。警戒宣言後は、商業施設の営業や鉄道などの交通が一部規制される。
 判定会会長の溝上恵東大教授は「できるだけ早く対応できる体制を取るための実効性のあるシステムにたどりつけた」としている。

多発「日本海溝」を研究 調査会新設
 中央防災会議は(平成15年7月)二十八日、北海道の根室・十勝沖から三陸沖、宮城県沖、福島県東方沖に至る太平洋の日本海溝周辺で発生する地震に関し、新たな専門調査会を設置することを決めた。発生が懸念される「宮城県沖地震」への関心が高まる中、今後の防災対策に拍車がかかりそうだ。
 会の設置は、(平成15年)五月二十六日にマグニチュード(M)7.0、最大震度6弱を記録した宮城・岩手県境の地震以降に本格的に検討。調査対象にはM7.5前後の地震発生が三十年以内に99%の確率で予想される「宮城県沖地震」の想定震源沖も含まれる。
 一方、中央防災会議は、(平成15年7月)二十五日に特別措置法が施行された東南海・南海地震に関し、防災対策推進地域の選定を専門家に諮問した。具体的な地域は約二カ月間かけて決定する。


有感地震300回越す

 (平成15年7月)二十八日午前四時八分ごろ、宮城県北部を震源とする震度5弱の地震が発生した。宮城県連続地震の余震とみられ、気象庁によると、震源の深さは約十四キロメートル。マグニチュードは5.0と推定される。体に感じる余震は、二十六日に最大震度6弱の地震が起こって以降、三百回を超えた。
 県のまとめでは、けが人は重傷十五人を含む計五百九十一人。家屋の全壊八十八棟、半壊三百八十九棟、一部損壊五千八百十棟、。また、県内の公立小学校五十六、中学校二十三、高校三十、県立特殊学校三の計百十二校で校舎の壁や柱にひびが入るなどの被害があった。
 新たに水田ののり面崩壊など約二億三千万円の被害も判明。農漁業を合わせた被害額は約三億三千万円となった。

想定外の大規模余震
発生確率徐々に上昇M4.5異常80%

 宮城連続地震では、気象庁が発表する「余震発生確率」が大きな関心を集めている。(平成15年7月)二十八日に4回目の発表があったが、過去の同規模の地震に比べて、大きめの余震が長く発生しており、確率の数値が徐々に上がるという異例の推移を示しているためだ。
 一般に、規模の大きな地震後の一定期間は、本震で放出されなかったひずみのエネルギーによる余震が続く。時間とともに回数は減少し、規模も「小さいものが多く、大きいものは少ない」とされる。これらの考えが確率計算に使われている。
 しかし、宮城連続地震では、過去のデータが当てはまらない「想定外」が続いている。まず、今回の地震が「前震−本震」型だったこと。気象庁によると、大正十二年以降この地域にはないという。同庁は、最大震度6弱を記録した、二十六日未明の「前震」を「本震」とみて余震の発生確率を発表したが、前提から覆される結果になった。
 さらに一日に震度6が三回起きるなど、過去の例と比べ余震減少の速度が遅く、一回ごとの余震の規模が大きいという傾向が見えてきた。大きめの余震が尾を引くように続き、被災地の緊張は続いている。
 こうした傾向を踏まえた結果、同庁の余震発生確率は徐々に上昇。M4.5以上の余震が七十二時間以内に起きる確率は、本震直後は50%だったが、収束に向かっているはずの二十八日には80%と発表された。
 余震発生確率は、二次災害発生防止のため警戒感を持ち続ける指標。被災地では同庁の発表をにらみながら、気の休まらない日々が続きそうだ。

平成15年7月29日(火) 産経新聞掲載