「おたいまつ」十本 勇壮 東大寺二月堂の修二会(しゅにえ)が十五日未明に満行するのにあわせ、連日夜空を焦がしていた「おたいまつ」十本が十四日、一斉に掲げられた。 満行のための作法が多く執り行われるこの日は、普段より三十分ほど早く夜の行法が始まるため、上堂する僧の足下を照らすおたいまつも、いつもより早い午後六時半に二月堂舞台に現れた。 十三日まで毎夜、おたいまつは一本ずつ間をとってゆっくりと堂の舞台を横断していたが、この日は僧が間を間をおかずに上堂したため、十本のおたいまつも次々と並ぶようにして舞台に登場した。その後たいまつ十本が一斉に欄干にかけられ、舞台は、勇壮で優美な火の花に飾られた。 平成15年3月15日(土)産経新聞掲載 ほのお高々と籠たいまつ 古都・奈良に春の訪れを告げる東大寺二月堂の「お水取り」修二会(しゅにえ)に十二日、ひときわ大きい「籠たいまつ」が登場した。 午後七時半頃、鐘の音を合図に、行で堂にこもっている僧十一人が籠たいまつに導かれ、次々に上堂。堂に続く登廊には、たいまつが燃える音と僧が静かに唱える般若心経が響き渡り、神秘的な雰囲気に包まれた。 竹の先に籠をつけたたいまつは長さ八メートル、重さ約六十キログラム。この籠たいまつを僧の従者・童子(どうじ)が担いで二月堂の舞台の欄干から突き出し、火を高々と掲げて舞台を横断。火の粉が舞台から大気のように舞い散ると、集まった集まった約二万八千人の見物客から大きな歓声が上がっていた。 平成15年3月13日(木)産経新聞掲載
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